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【金利マスター講座 第1回】金利の基礎 - お金の時間価値を理解する

金利とは何か、なぜ存在するのかを基礎から解説。お金の時間価値、単利と複利の違い、名目金利と実質金利の概念を学び、金利の本質を理解します。

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金利マスター講座
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この記事で学ぶこと

  • 金利とは何か、なぜ存在するのか
  • お金の時間価値(Time Value of Money)という考え方
  • 単利と複利の違いと計算方法
  • 名目金利と実質金利の違い

金利とは何か?お金を貸し借りする「価格」

金利(Interest Rate)とは、お金を借りるときに支払う、または貸すときに受け取る「お金の使用料」 です。

たとえば、100万円を年利5%で1年間借りた場合、1年後には元本100万円に加えて5万円の利息を返済する必要があります。この「5%」が金利です。

私たちの生活のあらゆる場面で金利は関わっています。

シーン金利の例
銀行預金普通預金金利 0.1%、定期預金金利 0.3%
住宅ローン変動金利 0.5%、固定金利 1.8%
クレジットカードリボ払い金利 15%〜18%
国債投資10年国債利回り 1.0%
企業の社債社債利回り 1.5%〜3.0%

なぜ金利は存在するのか

金利が存在する理由は、大きく3つあります。

1. 時間の対価(時間選好)

お金を貸す人は、その期間お金を使えなくなります。今すぐ旅行に行きたい、欲しいものを買いたい——そうした欲求を我慢することへの対価が金利です。

人間は本能的に「今のお金」を「将来のお金」より高く評価します。これを時間選好 と呼びます。1年後の100万円より今日の100万円の方が価値があると感じるのは、この時間選好があるからです。

2. リスクの対価(信用リスクプレミアム)

貸したお金が返ってこないリスクがあります。借り手が倒産したり、返済能力を失う可能性があるからです。

このリスクを負うことへの対価が金利に含まれます。信用力の低い借り手ほど高い金利を支払う必要があるのはこのためです。

借り手の信用力金利の目安
国(日本国債)約1.0%
大企業(社債)約1.5〜2.5%
中小企業(融資)約2〜5%
個人(住宅ローン)約0.5〜2%
個人(消費者金融)約15〜18%
3. インフレへの補償(インフレプレミアム)

物価が上昇すると、同じ金額でも買えるものが減ります。年2%のインフレが続けば、今の100万円は1年後に実質98万円の価値しかありません。

この目減り分を補うのも金利の役割です。インフレ率が高い国ほど金利も高くなる傾向があるのはこのためです。


お金の時間価値(Time Value of Money)

金利を理解するうえで最も重要な概念が「お金の時間価値」です。この概念は、投資、ローン、年金、企業価値評価など、ファイナンスのあらゆる分野の基礎となります。

今日の100万円と1年後の100万円は同じ価値ではない

「今日もらえる100万円」と「1年後にもらえる100万円」、どちらを選びますか?

ほとんどの人は「今日の100万円」を選ぶでしょう。なぜなら:

  • 今日の100万円を年利5%で運用すれば、1年後には105万円になる
  • 1年後に100万円をもらっても、その価値は今日の100万円より低い
  • 1年間の間に何が起こるかわからない(不確実性)

この考え方が「お金の時間価値」です。同じ金額でも、受け取るタイミングが早いほど価値が高い のです。

重要

お金の時間価値はファイナンスの最重要概念です。投資判断、ローン計算、企業価値評価——すべてこの考え方が土台になっています。

現在価値と将来価値

お金の時間価値を計算するとき、2つの概念を使います。

将来価値(Future Value: FV)

今のお金を運用したら、将来いくらになるか?

将来価値 = 現在の金額 × (1 + 金利)^年数

例:100万円を年利5%で3年間運用した場合

FV = 100万円 × (1.05)^3 = 115.76万円
現在価値(Present Value: PV)

将来のお金は、今の価値に換算するといくらか?

現在価値 = 将来の金額 ÷ (1 + 金利)^年数

例:3年後の100万円を年利5%で現在価値に換算

PV = 100万円 ÷ (1.05)^3 = 86.38万円

現在価値の考え方が使われる場面

この考え方は、実際の投資判断で頻繁に使われます。

債券の価格評価

債券は将来のキャッシュフロー(利息と元本)を現在価値に割り引いて価格が決まります。金利が上がると割引率が上がり、債券価格は下がります。

企業価値の算定(DCF法)

企業の将来のキャッシュフローを現在価値に割り引いて、企業価値を算出します。M&Aや株式投資の判断に使われます。

投資プロジェクトの評価(NPV法)

設備投資などのプロジェクトから得られる将来のキャッシュフローを現在価値に換算し、投資額と比較して採算性を判断します。


単利と複利の違い

金利の計算方法には「単利」と「複利」の2種類があります。この違いを理解することは、長期投資において非常に重要です。

単利(Simple Interest)

元本に対してのみ利息がつく 計算方法です。

利息 = 元本 × 金利 × 年数
将来価値 = 元本 × (1 + 金利 × 年数)

例:100万円を年利5%で3年間運用(単利)

利息 = 100万円 × 5% × 3年 = 15万円
合計 = 100万円 + 15万円 = 115万円

単利が使われる場面は限られており、主に短期の金融商品や一部の定期預金で採用されています。

複利(Compound Interest)

利息にも利息がつく 計算方法です。「利息の利息」が発生するため、長期になるほど大きな差が生まれます。

将来価値 = 元本 × (1 + 金利)^年数

例:100万円を年利5%で3年間運用(複利)

1年目: 100万円 × 1.05 = 105万円
2年目: 105万円 × 1.05 = 110.25万円
3年目: 110.25万円 × 1.05 = 115.76万円

単利と複利の差は時間とともに拡大する

短期間では差は小さいですが、長期になると複利効果は絶大です。

以下のシミュレーターで、元本 金利 期間をスライドさせて、複利の効果がどのように変化するか体験してみてください。

(参考)100万円を年利5%で運用した場合の比較:

年数単利複利差額
5年125万円127.6万円2.6万円
10年150万円162.9万円12.9万円
20年200万円265.3万円65.3万円
30年250万円432.2万円182.2万円

30年後には182万円以上の差 が生まれます。これが複利の威力です。

複利の威力:72の法則

複利で資産が2倍になるまでの年数を簡単に計算できる法則があります。

資産が2倍になる年数 ≈ 72 ÷ 金利(%)
金利2倍になる年数
1%約72年
2%約36年
3%約24年
5%約14.4年
7%約10.3年
10%約7.2年

ヒント

72の法則は暗算で使える便利な公式。「年利7%なら約10年で2倍」と覚えておくと、投資商品の比較に役立ちます。

この法則を知っておくと、投資のリターンを直感的に把握できます。

【実例】つみたてNISAで見る複利効果

複利効果を実感できる身近な例として、つみたてNISAを見てみましょう。

毎月3万円を20年間積み立てた場合
年利元本(積立総額)運用結果利益
0%(貯金のみ)720万円720万円0円
3%720万円985万円+265万円
5%720万円1,233万円+513万円
7%720万円1,563万円+843万円

年利5%で運用できれば、元本720万円が1,233万円に。利益513万円のうち、単利計算なら360万円(720万円×5%×10年※平均運用期間)ですが、複利効果で153万円も上乗せ されています。

これが「時間を味方につける」複利の力です。投資は早く始めるほど有利と言われる理由がここにあります。

複利の頻度による違い

複利は「年複利」だけでなく、「半年複利」「月複利」「日複利」など、利息が付く頻度によっても結果が変わります。

100万円を年利6%で1年間運用した場合:

複利の頻度計算式1年後の金額
年1回100万 × (1.06)^1106.00万円
半年ごと100万 × (1.03)^2106.09万円
月ごと100万 × (1.005)^12106.17万円
日ごと100万 × (1.000164)^365106.18万円

複利の頻度が高いほど、最終的な金額は大きくなります。


名目金利と実質金利

ニュースで「金利が上がった」と聞くとき、それは「名目金利」を指すことがほとんどです。しかし、投資判断においては「実質金利」も重要です。

名目金利(Nominal Interest Rate)

インフレを考慮しない、表面上の金利 です。銀行の預金金利やローン金利として提示される数字がこれにあたります。

私たちが日常で目にする金利のほとんどは名目金利です。

  • 住宅ローン金利 1.5%
  • 定期預金金利 0.3%
  • 10年国債利回り 1.0%

実質金利(Real Interest Rate)

インフレを差し引いた、実質的な購買力の変化 を表す金利です。

実質金利 ≈ 名目金利 − インフレ率

より正確には「フィッシャー方程式」を使います:

実質金利 = (1 + 名目金利) ÷ (1 + インフレ率) − 1

例:名目金利が5%、インフレ率が3%の場合

簡易計算: 実質金利 ≈ 5% − 3% = 2%
正確な計算: 実質金利 = (1.05) ÷ (1.03) − 1 = 1.94%

なぜ実質金利が重要なのか

たとえば、銀行預金の金利が年1%でも、インフレ率が3%なら:

実質金利 = 1% − 3% = −2%

名目上は資産が増えていても、実質的には購買力が2%減っている ことになります。預金残高は増えても、買えるものは減っているのです。

【体感】実質金利シミュレーター

実際に計算してみましょう。あなたの預金金利と、現在のインフレ率を入力すると、実質金利がわかります。

実質金利チェッカー

預金金利とインフレ率を入力して、あなたの資産の「本当の価値」を確認しましょう。

%
%
実質金利
-2.44%
1年後の預金残高:100.0010万円
実質的な購買力:97.56万円
資産価値が 2.4万円 目減り

どういうこと?

銀行にお金を入れておけば「数字」は増えますが、それ以上に「物の値段」が上がると、買える量は減ってしまいます。現在の設定では、預金しているだけで実質的にお金を失っています。

実質金利がマイナスの時代

日本では長らく超低金利が続いており、インフレ率によっては実質金利がマイナスになることがあります。

時期名目金利(普通預金)インフレ率実質金利
2020年0.001%−0.1%+0.1%
2022年0.001%2.5%−2.5%
2023年0.02%3.2%−3.2%
2024年0.1%2.5%−2.4%

実質金利がマイナスの状態では、現金や預金を持っているだけで実質的に資産が目減りしていきます。

【実例】2022-2024年、預金だけでは資産が目減りした

2022年以降、日本ではインフレが進行しました。この期間に「預金だけ」で資産を持っていた場合、何が起きたでしょうか。

100万円を普通預金に置いた場合(2022年〜2024年)
預金金利インフレ率実質金利100万円の実質価値
2022年0.001%2.5%−2.5%約97.5万円
2023年0.02%3.2%−3.2%約94.4万円
2024年0.1%2.5%−2.4%約92.1万円

3年間で預金残高は100万円のままでも、実質的な購買力は約8万円(8%)目減り しました。

たとえば、2022年に100万円で買えた車が、2024年には108万円に値上がりしていれば、同じ100万円では買えなくなります。これが「実質金利マイナス」の怖さです。

この状況下では、インフレ率を上回るリターンを得られる資産(株式、不動産、インフレ連動債など)への投資を検討する必要があります。

注意

実質金利がマイナスの環境では、現金・預金を持っているだけで資産が目減りします。インフレ対策として投資を検討する必要があるかもしれません。

投資判断への活用

投資を判断する際は、名目リターンだけでなく、インフレ率を考慮した実質リターンで考えることが重要です。

判断基準の例
  • 実質金利がプラス → 預金でも実質的に資産が増える
  • 実質金利がマイナス → 預金では資産が目減り、リスク資産への投資を検討

まとめ

金利の本質

  • 金利 はお金の貸し借りにおける「使用料」
  • 時間の対価、リスクの対価、インフレへの補償という3つの役割がある

お金の時間価値

  • 同じ金額でも、受け取るタイミングが早いほど価値が高い
  • 現在価値と将来価値の計算は、投資判断の基礎

単利と複利

  • 単利 は元本にのみ利息がつく
  • 複利 は利息にも利息がつき、長期では大きな差を生む
  • 72の法則:資産が2倍になる年数 ≈ 72 ÷ 金利(%)

名目金利と実質金利

  • 名目金利 は表面上の金利
  • 実質金利 はインフレを差し引いた実質的な金利
  • 実質金利がマイナスなら、現金・預金は実質目減り

次回は、金利の種類(短期金利・長期金利、政策金利・市場金利)と金融市場の仕組みについて解説します。


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