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【半導体マスター講座 第6回】主要企業徹底解説 - 誰が何を支配しているか

NVIDIA、AMD、Intel、Qualcomm、Broadcom、Micron、TSMC、ASMLの8社を徹底分析。各社の強み、競争関係、投資ポイントを解説し、半導体投資の判断材料を提供します。

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【半導体マスター講座 第6回】主要企業徹底解説 - 誰が何を支配しているか
半導体マスター講座
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はじめに

前回はビジネスモデルの3類型(IDM、ファブレス、ファウンドリ)を解説しました。今回は、半導体業界の主要8社 を個別に分析し、各社の強み、競争関係、投資ポイントを明らかにします。

半導体投資で成功するには、企業の表面的な業績だけでなく、なぜその企業が強いのか どのようなリスクがあるのか を理解する必要があります。

本記事を読めば、NVIDIA、AMD、Intel、Qualcomm、Broadcom、Micron、TSMC、ASMLの8社について、投資判断に必要な知識が身につきます。


半導体業界の勢力図

まず、業界全体の構造を把握しましょう。

半導体業界の勢力図

分野別の支配者

分野支配的企業シェア
AI GPUNVIDIA90%超
PC向けCPUIntel, AMD60:40
サーバーCPUIntel, AMD50:30
モバイルSoCQualcomm, Apple高シェア
メモリ(DRAM/NAND)Samsung, SK Hynix, Micron3社寡占
ファウンドリTSMC67%
EUV露光装置ASML100%
EDASynopsys, Cadence3社寡占

半導体業界は寡占構造 が特徴です。各分野で1〜3社が市場を支配しており、新規参入は極めて困難です。


NVIDIA - AI時代の絶対王者

NVIDIA

企業概要

項目内容
設立1993年
本社米国カリフォルニア州
CEOジェンスン・フアン(共同創業者)
ビジネスモデルファブレス
2024年売上約609億ドル
時価総額約3兆ドル(世界トップクラス)

NVIDIAの強さ

1. AI GPUで90%超のシェア

NVIDIAはAI向けGPU市場で圧倒的なシェア を持っています。データセンター向けGPU(H100、H200、Blackwell)は需要に供給が追いつかない状態が続いています。

2. CUDAエコシステム

NVIDIAの最大の強みはCUDA(GPU向けプログラミング環境)です。

CUDAの強み内容
歴史2006年から約20年の蓄積
開発者世界中のAI研究者がCUDAに習熟
フレームワークPyTorch、TensorFlowがCUDA最適化
ロックイン他社GPUへの乗り換えコストが高い

3. ハード+ソフトの統合

NVIDIAは単なるハードウェア企業ではありません。GPU + CUDA + AIライブラリ + 開発ツールを統合したエコシステム を提供しています。

製品ロードマップ

世代製品特徴
HopperH100現在の主力
HopperH200HBM3E搭載、H100の改良版
BlackwellB200次世代、AI性能2倍以上
BlackwellGB200GPU2基+CPU1基のスーパーチップ

投資ポイント

項目評価
成長性◎(AI需要で爆発的成長)
競争優位性◎(CUDAによるロックイン)
リスクバリュエーションの高さ、競合の追い上げ
適した投資家成長株投資家、AI テーマ投資

ポイント

NVIDIAの時価総額は2024年に一時世界1位に

AppleやMicrosoftを抜いて世界1位になる場面もありました。1993年創業のGPU企業が、わずか30年で世界最大の企業になったのは驚異的です。


AMD vs Intel - CPU戦争

AMD vs Intel

AMD - 挑戦者からの躍進

項目内容
設立1969年
CEOリサ・スー(2014年〜)
ビジネスモデルファブレス
2024年売上約258億ドル(過去最高)

AMDの強み

強み内容
Zenアーキテクチャリサ・スーCEO主導で開発、性能大幅向上
コストパフォーマンス同等性能でIntelより安い
マルチコア性能サーバー向けEPYCが好評
TSMC活用最先端プロセスを利用可能

AMDの課題

  • AI向けGPU(Instinct)はNVIDIAに大きく後れ
  • ソフトウェアエコシステム(ROCm)がCUDAに劣る

Intel - 王者の苦戦

項目内容
設立1968年
CEOパット・ゲルシンガー(2021年〜)
ビジネスモデルIDM
2024年売上約540億ドル(前年比減)

Intelの課題

課題内容
製造プロセス遅れ10nm→7nmで躓き、TSMCに抜かれる
シェア低下サーバー市場でAMDに猛追される
AI市場出遅れNVIDIAに大きく後れ

Intel復活の鍵:IDM 2.0

戦略内容
Intel 18A2nm相当の新プロセスで巻き返し
IFSファウンドリ事業で他社製造を受託
CHIPS法米政府から数十億ドルの補助金

シェア推移

市場Intel(2020年)Intel(2024年)AMD(2020年)AMD(2024年)
PC向けCPU80%60%20%40%
サーバーCPU90%50%10%30%

AMDが着実にシェアを拡大し、Intelを追い詰めています。

投資ポイント比較

項目AMDIntel
成長性
バリュエーション高い割安
リスクNVIDIAとの競争復活できるか不透明
適した投資家成長株バリュー株、逆張り

Qualcomm & Broadcom - 通信とカスタム

Qualcomm & Broadcom

Qualcomm - モバイルの支配者

項目内容
設立1985年
ビジネスモデルファブレス
2024年売上約390億ドル

Qualcommの強み

強み内容
SnapdragonAndroidスマホの大半に搭載
5G特許標準必須特許(SEP)を大量保有
二本柱ビジネスQCT(半導体販売)+ QTL(ライセンス収入)

ビジネスモデルの特徴

┌─────────────────────────────────┐
│          Qualcomm              │
├────────────────┬────────────────┤
│      QCT       │      QTL       │
│  (半導体販売)   │ (ライセンス)   │
│  Snapdragon    │   5G特許       │
│  売上の大半    │  高利益率      │
└────────────────┴────────────────┘

スマホ1台につき、チップ販売収入 特許ライセンス収入の両方 を得られるビジネスモデルです。

Broadcom - M&Aの達人

項目内容
設立1991年(現在の形態は2016年〜)
CEOホック・タン
ビジネスモデルファブレス
2024年売上約500億ドル

Broadcomの強み

強み内容
M&A戦略ニッチ市場No.1企業を買収・統合
多角化Wi-Fi、Bluetooth、ネットワーク、ストレージ
カスタムAIチップGoogle、Meta向けにカスタム設計
高利益率買収後のコスト削減で利益率向上

Broadcomの買収履歴

  • Avago(2016年、Broadcomを買収して社名変更)
  • Brocade(2017年)
  • CA Technologies(2018年)
  • Symantec事業部(2019年)
  • VMware(2023年、約690億ドル)

投資ポイント比較

項目QualcommBroadcom
成長性
安定性○(特許収入)◎(多角化)
配当◎(高配当)
リスクスマホ市場の成熟M&A統合リスク

TSMC & ASML - 製造を支配する2社

TSMC & ASML

TSMC - ファウンドリの絶対王者

項目内容
設立1987年
本社台湾新竹市
ビジネスモデルファウンドリ
2024年売上約900億ドル
シェア67%(最先端は90%超)

TSMCの強み

強み内容
技術力最先端プロセスで業界をリード
歩留まり製造の成功率が極めて高い
顧客との信頼Apple、NVIDIA等と長期関係
設備投資年間300億ドル以上を投資

TSMCの顧客

顧客製品
AppleA/Mシリーズチップ
NVIDIAAI GPU(H100、Blackwell)
AMDRyzen、EPYC
QualcommSnapdragon

世界のテック大手がTSMCに依存 しています。

技術ロードマップ

プロセス特徴
20233nm量産中
20252nmGAA(Gate-All-Around)導入
20261.6nm相当A16プロセス

ASML - EUV装置の独占者

項目内容
設立1984年
本社オランダ・フェルトホーフェン
ビジネスモデル製造装置メーカー
2024年売上約300億ユーロ
EUVシェア100%(完全独占)

ASMLの独占の理由

要因内容
技術的難易度EUV光源の実現に20年以上
部品数1台10万点以上の精密部品
特許網競合の参入を阻止
価格1台約200億円

地政学的重要性

  • 対中輸出禁止:米国の要請でEUV装置の中国輸出を禁止
  • 国家安全保障:ASMLなしに最先端半導体は作れない
  • チョークポイント:サプライチェーンの急所

TSMCとASMLの共生関係

ASML ──→ EUV装置 ──→ TSMC ──→ 最先端チップ ──→ Apple, NVIDIA等
          供給            製造              供給

両社は相互依存 の関係にあります。TSMCはASMLの最大顧客であり、ASMLなしにTSMCの最先端製造は不可能です。

投資ポイント比較

項目TSMCASML
成長性
安定性
独占的地位◎(67%シェア)◎(100%シェア)
リスク台湾地政学リスク需要変動
配当

注意

台湾リスクに注意

TSMCは世界の最先端半導体の67%を製造しています。台湾有事の際は、世界のテクノロジー産業に甚大な影響が及びます。投資家は台湾情勢を常に注視する必要があります。


Micron - 米国唯一のメモリ大手

企業概要

項目内容
設立1978年
本社米国アイダホ州
ビジネスモデルIDM
2024年売上約250億ドル
製品DRAM、NAND、HBM

Micronの強み

強み内容
米国唯一DRAM/NANDを製造する唯一の米国企業
HBM参入HBM3Eで市場に本格参入
政府支援CHIPS法で数十億ドルの補助金

メモリ市場の特性:シリコンサイクル

メモリ市場は需給バランスで価格が大きく変動 します。

局面状況Micronへの影響
好況期需要>供給、価格上昇利益急増
不況期供給>需要、価格下落赤字転落も

2023年は在庫調整で苦境でしたが、2024年はAI需要(HBM)で回復しています。

投資ポイント

項目評価
成長性○(HBM需要)
安定性×(シリコンサイクル)
タイミング重要(景気循環を意識)
適した投資家景気敏感株、逆張り投資

企業別投資ポイントまとめ

投資ポイントまとめ

8社比較表

企業分野成長性安定性主なリスク
NVIDIAAI GPUバリュエーション
AMDCPU/GPUNVIDIAとの競争
IntelCPU復活できるか
Qualcommモバイルスマホ市場成熟
Broadcom通信他M&A統合リスク
Micronメモリ×シリコンサイクル
TSMCファウンドリ台湾リスク
ASML製造装置需要変動

投資スタイル別おすすめ

投資スタイルおすすめ企業理由
成長重視NVIDIA, AMDAI・データセンター成長を享受
安定重視TSMC, ASML, Broadcom独占的地位、高い参入障壁
高配当Broadcom, Texas Instruments安定したキャッシュフロー
バリューIntel割安だが復活に賭ける
景気敏感Micronシリコンサイクルの谷で買い

ETFという選択肢

個別株のリスクを避けたい場合は、半導体ETFも選択肢です。

ETF特徴
SMH大型半導体株に集中
SOXX幅広い半導体株をカバー

まとめ

本記事では、半導体業界の主要8社を分析しました。

各社のポジション:

  • NVIDIA:AI GPU独占、CUDAエコシステムで競合を圧倒
  • AMD:CPU/GPUでIntelを追撃、TSMC活用で躍進
  • Intel:製造遅れで苦戦、IDM 2.0で復活を目指す
  • Qualcomm:モバイルSoCと5G特許の二本柱
  • Broadcom:M&Aで多角化、カスタムAIチップも
  • Micron:米国唯一のメモリ大手、HBMに期待
  • TSMC:ファウンドリ67%シェア、最先端で独走
  • ASML:EUV装置100%独占、サプライチェーンの急所

投資の視点:

  • 成長重視ならNVIDIA、AMD
  • 安定重視ならTSMC、ASML、Broadcom
  • 分散投資ならETF(SMH、SOXX)

次回(最終回)は「AI時代の半導体と地政学 - 投資家が知るべきリスク」と題して、AI需要の見通し、米中対立、台湾リスクなど、投資家が注意すべきリスク要因を解説します。


シリーズ目次

  1. 半導体とは何か - 1兆ドル市場の全体像
  2. 半導体の種類を理解する - ロジック・メモリ・アナログ・パワー
  3. プロセッサの世界 - CPU・GPU・SoC・FPGA・ASIC
  4. サプライチェーンを読み解く - 設計から製造まで
  5. ビジネスモデル3類型 - IDM・ファブレス・ファウンドリ
  6. 主要企業徹底解説 - 誰が何を支配しているか(本記事)
  7. AI時代の半導体と地政学 - 投資家が知るべきリスク
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投資とビジネスに関する情報を発信しています。初心者にもわかりやすく、実践的な知識をお届けします。

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